筋ヘルニア

東海市の鍼灸整骨院コラム

筋ヘルニア

筋ヘルニアとは、損傷した筋膜から筋肉がはみ出し膨隆する状態である。

病因・病態・病理

ほとんどが激しい動作や外傷後に生じる。筋膜の比較的伸展性の弱い部分、つまり血管や神経が貫通する部位が損傷して起こるとされる。しかし、臨床上、隙害をもたらすことは少ない。

図1は家ウサギの後肢の部分筋膜切除を行ったところであるが、図2のように1カ月後に同部を展開してみると、筋膜様の組織が再生されていた。

臨床像

真の筋ヘルニアは、スポーツ現場で実際に遭遇するのは非常にまれである。過去19年間の筑波大学保健管理センター資料でも筋ヘルニアは起こっていない。文献上では、好発部位は上腕(屈側)や下腿(前面)であり、大腿では内転筋部といわれる。また、前述のように起こったとしてもほとんどは軽症であることが多い。

われわれが比較的経験することが多いのは、膝靱帯再建時に腸脛靭帯を採取した後の、外側広筋の筋ヘルニアである。図3は、膝前十字靭帯を腸脛靱帯で再建した後の普通写真である。大腿の外側に大きな突出がみられる。図4は、同選手の筋ヘルニア部をMRI像で健側と比較したところである。大腿前面の筋が全体的に外側へ偏位し、その結果外側広筋が大きく突出したものである。筋膜の切除が広範囲にわたったためと思われる。実際に、外傷で起こることはまずないが、このように大きな筋ヘルニアでも、見た目の問題以外は愁訴の原因にはならないのである。

診断

肉眼所見で筋の膨隆をみればわかる。鑑別疾患として、肉離れや筋断裂があげられるが、症状とくに視診・触診にて容易に鑑別される。ヘルニアを起こした筋が筋肉部で嵌頓した場合には、軟部腫瘍との鑑別が必要である。

検査としては、超音波検査が簡便であり、わかりやすい。超音波検査では、筋収縮による変化を観察することができる。筋の活動する様子から、前述の動物実験で経験したように皮下組織と筋との間に介在組織が存在するのがわかる。

治療

前述のように多くは保存療法でよい。疼痛が続く場合には、筋膜の縫合や修復(パッチなど)が行われることもある。しかし、下腿では縫合後にコンパートメント症候群を起こした報告もあり、むしろ広範に減張切開を行うべきであるといわれている。

また、まれに筋膜部で嵌頓した場合には、やむをえずヘルニア部を切除することもある。いずれにしても手術療法の場合には、筋ヘルニアの部位を確認し、原因や程度を参考にしながら、注意深く行う必要がある。